2009年6月30日

梅雨の合間に


 夕べからの雨で調査の仕事が中止になった。内心ほっとして、何することもなく小屋でのんびり過ごしている。午後から止んだので庭に出た。明るい緑のハート型したカツラの葉の上でたくさんの雨粒が、雨空を映して光っている。このカツラは、6年前に小屋を建てたときに植えたものだ。そのときは、高さ1mぐらいの弱弱しい苗木だったのが、今では8メートルにも生長して雨露がしのげるほどになった。

 その先に、ネムノキがある。これは庭が牧草地で何も樹木が無かった頃、真っ先にどこからかやってきて育ったものだ。ふと見たら、花が咲いている。繊細な雄しべが、雨に打たれて絡まっている。濡れそぼった美女の風情か?

2009年6月24日

現在の庭


 今まで動植物の小世界を紹介することが多かったので、ここで、現在の庭(庭と言えるのなら)の写真をアップする。でも、これは庭の一部だけ。反対側を向くと、一面のヒメジオン、キクイモ、セイタカアワダチソウ、それにクズの「原野」で、今のところ、とても見せられたものではない。中央の木々の間に見えるのが、小屋の窓。

コンニャク


 あれほど強く降った雨も、午後から晴れた。まだ、露の残っている庭を歩いていたら、コンニャクが芽を出して、いつの間にか大きくなっているのを見つけた。毎年、この辺に生えてくるのだが、冬の間は地上部が跡形もなく消えているので忘れてしまう。そして、春になり、それも他の植物がとっくに大きくなった頃になって、突然、シミをたくさんつけた肉質の太い芽を出す。それも、唐突という感じだし、あまりに動物的なので、何回見てもギョッとする。
 でも、もう大丈夫だ。先端から緑色の葉が広がり始めた。これから夏の強い光をだくさん浴びて、急速に生長して、地下の芋(地下茎)を太らせるだろう。確か、今年は3年目だ。そろそろ食べごろのはずだ。

2009年6月23日

アマガエルの侵入


 ブナ調査から帰って来たら部屋が暑い。急いで窓を開け放した。その時に、アマガエルのチビどもが侵入したのに違いない。何匹もが部屋の中を飛び跳ねている。シュガーポットの上に一匹、テーブルの上にもう一匹・・・・・。急いでカメラを持ち出して記念撮影した。もっと焦点の合った写真を写したかったのに逃げ出してしまった。
 庭では、入り口のドア前の地面の上を、小さな明かりがゆっくり移動していた。懐中電灯で照らしたら、ヘイケボタルだった。こんなところで何していたのだろうか?すぐにオオバコの葉陰に消えてしまった。

2009年6月17日

その後の畑


 以前のブログで、今年こそは野菜畑を成功させるつもりだと「決意」を表明したが、2ヶ月を経た現状は写真の通りだ。見かけは夏草に負けてしまったように見えるが、まだギブアップしていない。これでも今までで最も成功しているのだ。サヤエンドウは何度も料理して食べたし、ナスは、次から次へと大きく実っている。先ほどビニール袋いっぱい穫ってきた。ジャガイモは、地上部が枯れたので、この次の天気が良い日に掘り出そう。インゲン豆とプチトマトは、小さいのがたくさんぶら下がっている。もう何日かすると食べきれないくらい収穫出来るだろう。
 それに、畑の脇に植えておいたラズベリーが、いつの間にか草の中で大きく生長して、今日見たら赤いお菓子のような果実を付けていた。さっそく摘んで食べたら、口いっぱいに甘い香りと甘酸っぱい味が広がった。これから散歩するたびに楽しめそうだ。

カエル


 うれしいニュースを一つ。小屋の裏に積んである薪の下に、立派で美形のアズマヒキガエルが住み着いているのを見つけた。急いで写真を撮ろうとカメラを取りに行っている間に、奥に引き込んでしまった。でも、彼の住まいは、いつでも台所からよく見えるところにある。近日中には、その勇姿を紹介できるだろう。
 代わりに、今回はトチの葉の上でのんびりと休んでいる(?)アマガエルの写真で我慢して欲しい。なんともユーモラスで可愛い。
 庭を歩いていると、今年孵ったアカガエルやアマガエルの小ガエルたちが、僕の足音に驚いて一斉に草むらに飛び散った。まだ、2cm足らずのチビどもだ。更に進んだら、小さなヤマカガシが逃げていった。カエルを食べに来たのだろう。どちらも子ども同士なのだが、どうしてもカエルの味方になってしまう。(写真をクリックしてください)

2009年6月16日

アブラチャンの実

 庭の樹木が僅かでも大きくなるのを望んでいる僕は、今頃の庭を見て歩くのが楽しみだ。どの木も春の芽吹き以来、グングン枝を伸ばして一回り大きくなっている。更に、コナラなどは、ラマスシュート(二度伸び)の新梢を出してこれからも生長する様子だ。
 庭を歩いていて、アブラチャンに果実がたくさん付いているのを見つけた。緑色の真ん丸の可愛い実が、枝にびっしり付いている。残念ながら、この果実は食べられない。名前の通り、昔はこれから灯火用の油を採取したという。早春の頃、まだ葉が出る前に小さな黄色の花を咲かせる。蕾も可愛い。ごく小さな人形が両手のコブシを空に突き上げて万歳している形だ。庭に数本を植えたが、小屋に近い株には実がついていない。この木は、雌雄異株で小屋の近くのは雄の木ばかりなのだ。数年前に植えた時は、まだ木が幼くて雌雄が判らなかったのだから仕方が無い。

2009年6月14日

蜂の巣

 雷の雨が上がったので、庭に出た。すると、入り口のケヤキの根元近くに、変なものがぶら下がっているではないか。褐色の太めの徳利を逆さに吊るしたような形をしている。すぐに解った。スズメバチの巣だ。大きさは人のコブシほどで、地面に向かって首が伸びている。ここが出入口らしい。先週には気がつかなかったから、僕が自宅に帰っている間にせっせと建設したのだろう。恐る恐る近づいて眺めてみると、なかなかの造形美である。細くなっている首も面白いし、濃淡の縞模様もおしゃれである。う〜ん、もう少し大きくなるまでこのままにしておこうか?それとも、蜂が増えないうちに早く退治しようか? 迷うところだ。

2009年6月8日

子猫

 山小屋に一人でいると、動きのあるものについ視線が集中する。先日も、草の陰にちらちら動くものを見つけた。なんだろうと目を凝らしてみると、可愛い子猫だった。僕の姿に気がつくと、大急ぎで逃げていった。その後、林を隔てた隣家の近くで見かけたからこの家の猫なのだろう。ときどき、僕の小屋にも遊びに来てほしいので、残り物の魚などをデッキに置いてみたものの、いまのところ成功していない。
 ところで、最近出版された平出隆著「猫の客」(河出文庫2009年5月)を先ほど読み終えた。この小説では、庭を通って訪れてくる隣家の猫との交情と別れが、実に緻密で繊細な文章で描かれている。そして読み終わっても深い余韻が続く。静寂さが包む古い家と庭、小さな生きものの命とその死、そして静かに暮らす若い夫婦と家主の老夫婦・・・・・・。つい引き込まれてページが進んでしまう。それが惜しいので、同じところを何度も読み返す。  僕は、こういう小説って好きだな~。

2009年6月7日

ヤマアジサイ


 園芸植物の少ない今頃の小屋の庭は、花が少なくてさびしい。今咲いているのは、ネズミモチの細かな白い花と、ヤマアジサイぐらいだ。近づいてよく見ると淡いブルーの閉鎖花がなかなか綺麗だ。

 このところ、夕食後、散歩を兼ねて、近くの小川までホタルを見に行くのが日課になっている。今夜も先ほども行ってきた。もうゲンジボタルはめっきり少なくなって、ヘイケボタルが出現している。いつもなら、今頃がゲンジボタルの最盛期のはずだが、今年は先月の末がピークだったようだ。
 どこか変な感じがする。そういえば、例年になく庭の害虫の発生が少ないようだ。若葉の虫食われがあまり見当たらないのだ。地元の人は、カエルの鳴き声がいつもより静かだという。植物の被害が少ないのは、うれしいが、虫が少ないのは不気味である。単に気候のせいであればいいのだけど・・・・・・。

2009年6月1日

雷のち風呂


 ブナ調査をやっと終えて帰路についたとたんに、物凄い雷雨。急にあたりは薄暗くなって、足元を照らす懐中電灯が欲しいほど。ヒョウ混じりの豪雨が、森の巨木を打つ。みるみるまに山道を赤茶けた水が滝のようになって下る。足首まで漬かりながら、神社の駐車場へ急いだ。全身がずぶ濡れになって、疲れと汚れでクタクタだ。そのまま、風呂に入りたかったが、とても風呂屋に行ける姿ではない。一旦は山小屋へ戻り、着替えてから近くの温泉までいった。その頃は、雷雲はどこかに去って、西の空には夕日を背に筑波山がくっきりと影絵となっていた。露天風呂から晴れた夜空を見上げたときは、まるで天国にいるような気分だった。