2014年10月26日

カツラの落ち葉


 先日、小屋に来た客が、「いい匂いがする。何だろう?」と言っていた。今頃の山小屋はこの匂いで包まれる。香ばしい醤油せんべいのような、キャラメルのような、ある人はチョコレートのようだともいう。その元は、カツラの落ち葉である。秋になると黄色に紅葉して、やがてハラハラと落葉する。この落ち葉から懐かしい甘い香りが立ちのぼるのだ。カツラは方言で「コウノキ」、「マッコノキ」とも言って、青葉を乾燥させて粉にし抹香として使った。春先の可愛いハート型の若葉から秋の紅葉、甘く薫る落ち葉、すくすく伸びる涼しげな樹形、そして、不思議な形の花と果実・・・、材としても木目が綺麗で耐久性があり優秀だ。こんなカツラは僕の大好きな木であるが、難点はただ一つ、成長が早くてすぐ大木なることだ。都会の庭に植えたら、あとで後悔することになるだろう。カツラを庭に5本も植えられるのは、やはり田舎に暮らす者の特権だ。

2014年10月17日

『易』に凝ってます(笑)


 このところ、出かける時、バッグに岩波文庫版の『易経』を忍ばせている。ちょっとした隙間の時間に、パラパラとめくって、目が止まった所を読む。何しろ3千年も前の古代中国の古典だからひどく難しいが、現代語訳をたよりに、何とか意味をくみとり、現代を生きている自分の生活に当てはめて、あれこれと勝手な解釈を試みている。退屈しのぎにはなる。「あれをするのは凶」、「こちらの方角は吉」、「こうすれば可」。まったく「論理的」では無いが、妙に引きつけるものがある。それは、東洋人である僕の心の奥のまたその奥に、易の哲学と共振するものがあるからなのだろう。あるいは、この年齢になると、自分ではどうにもならない何か大きなものが、人生を支配していると薄々感じ始めるようになったからだろうか。ユングの共時性から出発して、『黄金の華の秘密』、そしてとうとう『易経』まで流れてきてしまった。これから、どこへ行くのやら(笑)。
写真は、八卦が簡単に占える八面体サイコロと六爻を示す六面体サイコロです。

2014年10月6日

台風の後

 八郷は盆地だが、小屋のある青柳集落は、またその中の小さな盆地。真ん中を、初夏にゲンジボタルが飛び交う青柳川という小川が流れている。その川が、台風の雨で溢れて、周囲の田圃を水浸しにした。先ほど、雨が小降りになったので見に行ったら、普段は田んぼだったところが一面の水原となっていて、それが両側から狭まった集落の入口に集まり、濁流となって出て行く。すこし先では、土手が崩れて道路を塞いでいる。近所の人が、こんなことは滅多に無いからと携帯で写真を撮っていた。僕もここに来て初めての光景である。もちろん、少し高台にある僕の山小屋は何ともない。
 今12時45分。日差しも出て来たので、午後からは土砂崩れの現場を迂回すれば出かけられそうだ。