2018年3月5日

これがピーだ!



 先日、若い女の子が小屋に来た。僕の顔を見るなり、「たった今、入口の坂のところでタヌキを見た」と言う。彼女は「まだ、あそこにいる」と言って林道を指をさす。
「あれは僕のところの猫だよ。ピーと言うんだ。ピーが見られたなんて、君はすごくラッキーだと思わなくてはいけないよ。小屋に来た人で、ピーと会える人は稀なんだから」

 確かに、暗褐色の長毛で、少し太りきみのピーを後ろから見れば、タヌキと間違うだろう。特に冬季のフワフワ、ムクムクした毛皮はタヌキに見える。内心、猟師に鉄砲で撃たれでもしないかと心配しているくらいだ。しかし、正面から顔付きを見れば、すぐわかる。第一、こんなに可愛いくてハンサムなタヌキがいるはずがない!

 昨夜は、よく晴れた満月の暖かい晩だった。風邪をひいて、昼間寝ていたから真夜中に目が覚めた。ベッドの窓から、青白い月光が落葉樹の庭に注いでいるを何気なく眺めていた。そのときである。黒い影が、木々の間を走り回っている。目を凝らしてよく見ると、ピーだった。寒い冬が終わって、また、美しい夜が巡って来たことに浮かれているだろうか。小屋に戻って来たところを捕まえて説教してやった。「こんな晩に、こんな行動をとるから、タヌキに間違われるのだ」と。 
(もしかすると、ピーはタヌキが猫に化けたのか?(笑))




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